Sプランニング ブックレットシリーズ6 実録刑事弁護 辻川 圭乃 著 A5判 155ページ 1,100円(税込) 「少なくとも重度の知的障害を有する人が受刑しているなどとは 考えてもいませんでした」 ■「療育手帳を持っている人が刑務所に入るなんておかしいと思います。」 被告人の知人が法廷で発した言葉です・・・・ |
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著者「はじめに」より 「療育手帳を持っている人が刑務所に入るなんておかしいと思います。」 被告人の知人が法廷で発した言葉です。実際、私もそう思っていました。 少なくとも重度の知的障害を有する人が受刑しているなどとは考えてもいませんでした。 一昔前までは、聴覚障害を有する人は罰せられないかもしくは少なくとも必ず刑は軽減されました。 知的障害のある人については、依然心神喪失もしくは心神耗弱の規定により罰せられないか、罰せられるにしても刑が軽くなるので刑務所なんぞには間違っても行かないと思っていたからです。 でも、実態は大きく異なっていました。 この本に出てくる常習累犯窃盗の被告人も、強盗致傷の被告人も療育手帳はA判定ですが、二人とも前科10犯以上で、何回も刑務所に入っています。この驚愕の事実を少しでも多くの人に知ってほしくてこの本を書きました。 また、彼らは前科は非常に多くありますが、決して極悪非道でも、凶暴な性格でもありません。 むしろ、どちらかと言えば穏やかなごく普通の人間です。 ただ障害を有するために、自分を守る力が弱く、結果的に、人生の大半を刑務所で過ごすことになっています。 この原因はどこにあるのかを考えてみたいと思います。 障害のある人のほうが、ない人に比べて厳罰化の傾向があります。累犯の傾向もあります。障害があることが、刑事訴訟手続きの中で、どのように認識され、どのように扱われているかを知ってください。 一人でも多くの人に、知的障害などの障害を有している人たちの現状を理解していただき、そのことが障害を有する人たちにとって適正な刑事手続きが受けられる一助になることを願っております。
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